ジーニアス・ファクトリー
ジーニアス・ファクトリー
Amazon価格:¥ 2,100 (定価:\ 2100)
在庫あり。
デイヴィッド・プロッツ | 早川書房 | 2005-07-21
24点:¥ 148より 詳細

総合評価:
荒唐無稽でありながら、実に興味深いノンフィクション
天才の遺伝子だけを扱った精子バンクという謎めいたものを追ったノンフィクション。
全く荒唐無稽なアイディアを実行してしまった人々、そしてそれに乗っかった女性たち。
精子を提供する奇妙な男たち。
そして、父親を知ることなく生まれてきた子どもたち。
父親の手がかりになるのは書類に書かれたコードネームだけ。
どこをとってもフシギな話だ。
題材そのものだけでも充分に面白いが、ハイライトはその部分だけではない。
最初は好奇心だけで調べ始めた作者が、
人工授精で生まれた子どもやその家族を自力で探し出し、触れ合ううちに
人間の絆や家族について目覚め始める感動的な話である。
固い内容なのに、読みやすい文章なのも良い。
そして、内容的にも考えされられ上、スリリングで実に読み応えのある一冊。
日本の倫理観との違いを感じた
アメリカの精子バンクについて取材してまとめた本だ。
天才の精子を提供するとした遺伝子バンクということで、著者の興味のスタートに「氏か育ちか (Nature or Nurture)」という問題があったようだが、実際には天才精子バンクという実態はなかったと言う、予期せぬ形で見事に裏切られて、結論は出ない。
個人的には、「Nature」としての天才はそれほど珍しいものではなく、それが発現するのに必要な「Nurture」なり「偶然」なりが「right time, right place」になかなか得られないのが、天才が稀な理由だと考えているので、よしんばバンクが売り文句通りに運営されていても結論が出たりはしなかったであろう。そもそも、父母由来の遺伝子だって一期一会。様々な遺伝子同士の一期一会が個性を、従って天才を作り出すのだ。しかも、良い方の遺伝子を一つでも多く持っていれば天才に近づくというような線形の単純な世界ではない。
ただ、著者の逆に「Nature」の寄与を underestimate したいような口調にも少し閉口した。父から単純に受け継ぐ「Nature」ではなくとも、明らかに持って生まれたものはあるのだし。
取材を通じた、人生への干渉は多少たじろぐものがあった。遺伝子バンクベイビーを精子提供者に会わせるよう奔走する(著者に取っては本を書くという功利的な理由があるだろうに)のは、私の倫理観と合わなかった。アメリカ人と日本人の違いを感ずる。
もう一点。本書を読んで、精子バンクが欧米でいかに普及しているか驚いた。アメリカばかりでなく、イギリスでも精子バンクベイビーが父に会う権利について真剣に議論されていると言う。日本なら、そんなことを表立って始めればメディアに大タタキされて、叩かれた人はやめてしまって一歩も先に行かないだろう。
これは、脳死問題でも同様である。日本の子供がアメリカに移植手術を受けにいくのが、メディアから美談として紹介されることに違和感を感ずる。普段メディアは、脳死移植について否定的に世論を誘導している事実があるからである。精子バンクでも同様のことが繰り返されるのではないかと危惧している。
(今、ウェブで引いたら、日本でもなくはないのですね。何かあったらメディアの祭りになるんだろうなあ)
ジーニアスのことをもっと知りたい
天才を先天的な要因すなわち遺伝子レベルから生み出そうとする論理は後天的要因すなわち教育環境よりも、もっと強力な手段のように思われます。教育学における遺伝説と環境説の対立を考察するための資料として読ませていただいたのですが、内容的に生物学、ライフサイエンス的な記述が多かったので、当方としてはあまり参考になりませんでした。
天才の子供は天才か
昔アメリカにあった、ノーベル賞受賞者の精子ばかりを
集めた精子バンク(レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス)の
精子から生まれた子供がどうなったか(本当に天才になったか)を
追跡調査したノンフィクション。
著者のかゆいところに手が届く周到な筆も痛快だが、
何より事実の奇妙奇天烈さに驚かされる。
ひとつわかったのは、IQが高いからといって
人生が楽になるわけではない、ということ。
精子バンクが改めて浮き彫りにする家族のカタチ
「ノーベル賞受賞者精子バンク」。天才=ノーベル賞というわかりやすい図式。タブロイド紙にうってつけのニュースソースだ。まずこういう機関が実際に80年代から20年近くに渡ってアメリカで存在していたことに驚く。果たしてその結果は・・・。本書はこの悪夢的ユーモアに満ちたバンクの真相を描くことを下敷きに、不妊治療の歴史も俯瞰的に紹介している。筆者自身の精子ドナー体験も描かれ、現代の目覚しいばかりに発展を遂げている精子バンク業界の功罪も問うている。取材が可能だったドナー、母親、精子バンク・ベイビーたちのドラマを丹念に追いかけることによって、「家族とはいったい何か」という根源的な問題に読者の目線をうながしている。父母、妹のことを思う。
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