ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

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ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

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飯田 泰之 | 筑摩書房 | 2006-11


10点:¥ 50より 詳細


総合評価:星3つ

星4つ 多面的なものの見方を学ぶ
 本書前半では、論理的な検討に耐えうる議論とそうでない議論を、5つのチェックポイントを使ってほぼ機械的に判定しようとしています。この発想は、「正しそうだ」から「怪しそうだ」までの目安を得るための簡便法として、自分が詳しくない議題においても使うことができるので、とても便利な考え方だと思いました。

 本書後半では、著者が練った、社説や論説でいかにも登場しそうな11編もの評論文を元に、チェックポイントの具体的な使い方を示していきます。この部分には、経済学者としての著者自身の主張が色濃く反映されているため、読者自身の主義や主張によっては、かなり抵抗を感じるでしょう。

 しかしながら、私は後半部分にこそ本書の真骨頂を感じました。私は(特に食糧自給率について)著者の主張と相容れない考えを持つのですが、著者の論理的で柔軟な視点に触れ、「こういう見方もあり得るのか」と刺激を受けました。他者の視点や思考基盤を知ることは、議論を行なう上でとても大切なことだからです。

 本書の目的は、検討に値する議論を見つける簡便法を解説することですから、その目的は十分に達成されていると思います。加えて、一人の経済学者が多数のありがちな論説をメッタ切りにして、その結果を平易な文章で読むことができる、刺激的な一冊だと思います。正しいか誤りかはひとまず棚に上げて、著者の思考の流れを味わいましょう。


星4つ 難しく、厳しい本
第1章から第3章までは、ダメな議論のできあがり方、議論を見分けるチェックポイント5つ、予想される反論と、基礎編である。役に立つ内容だが、第4章以降も読み進めた上で書くと、あてはめが難しく、内容も一部厳しいところがある(定義をあまり突き詰めると循環論法にならないだろうか。一応の妥協点の提示が必要だと思う)。

第4章、第5章は、日本経済の問題点について、チェックポイントを用いて著者なりにダメな議論を見分けた内容で、実践編といえようか。個人的には、食糧自給率の問題と、「大停滞」論争が参考になった。

以上、第4章以降は星5つ、第1章から第3章で星1つ減らして、星4つ。


星3つ うーん・・・
ダメな議論を見抜くための5つのチェック方法や
虚無論法等の批判への対応はためになりそうな内容だと思います。
しかし、4章の実践編からきついですwそばの例は笑っちゃいました。
どうダメなのか読者に納得させたいようですけど
要は注意深く相手の話を聞いて「こいつはなんだかよくわからないことをいってるなぁ」
ぐらいでいいんじゃないですかねw


星3つ 自分は大丈夫だとは思うのだが・・・
世の中で行われている「議論」のうち、比較的簡単に分かる「ダメ」なものの見つけ方として、5つのチェックポイント
1.言葉の定義が適切か?
2.無内容な/反証不可能な内容ではないか?
3.難解な理論の不適切な援用ではないか?
4.単純なデータで否定されないか?
5.比喩と例話以外に支えがあるか?
をあげて、新聞等でよく見かける「議論」の例文から問題点を見つける方法を示した書物だ。と、書いたが、理性を普通に働かせれば分かるはずという気もする。この辺は自然科学の方では、ある意味常識であるのだが、自然科学者が集まって議論しても、社会や経済問題になると、同じところにハマる人が結構いる。まあ、自分は大丈夫のつもりではある。

本書で取り上げた議論はほとんど経済関係。「ダメな議論」がバサバサ切られているのだが、私には少々疑問の残る物もいくつかあった。例えば、ニートが増えたのは景気が悪くて就職できなかっただけだと、データから述べられているのだが、学生を見ている印象とはかなり違う。私にはデータの問題点も垣間見える。もうひとつ、低価格の海外労働力がデフレーションと関係ないということが、欧米ではデフレーションが起きていないことから主張されているが、価格下落と原価の低下が無関係と言うのは、ちょっと信じがたい。データが示すことと直感が異なる時には、そのギャップはもう少し丁寧に埋めないといけないと思う。自然科学だって、そのギャップを埋めようとすることから、新たな発見が立ち現れるのはよくあることだ。社会や経済のデータなんて、データ自身の客観性にかなりの問題があるのだし、単純なデータと簡単には言えないように思う。

というようなところに引っかかっているのは、私もちっとも大丈夫ではないのだろうか?


星2つ スクリーニングされた議論は本当にダメなのだろうか?
 本書は“ダメな議論”を抽出するために、新聞記事や政策提言などで、

● 単純なデータ観察で否定されないか
● 定義の誤解・失敗はないか
● 無内容または反証不可能な言説
● 比喩と例話に支えられた主張
● 難解な理論の不安定な結論

といった5つのチェックポイントをあげて、そのほとんどをクリアできない議論は
誤りであり、複数をクリアできないものはかなり怪しいと受け止めるべきであると
説明しています。しかし、リアルな世界では相手の主張が自らの主張より劣って
いるからといって勝利するとは限りません。優れているからといって必ずしも
ヒットしない工業製品はその良い例となるでしょう。自らの主張を受け入れて
もらうためにあらゆる説得の手段を使って支持をもぎ取っていかなければなりません。

 情報が氾濫している現代社会では著者の言う正しい議論でさえも説得のプロセスで
上記のガイドラインを踏み越えざるを得ない事がしばしば起こります。
リアルな世界では支持をされないものは存在しないのと同じなので、
“ダメな議論”に対抗するため“ダメでない議論”も説得のための武装を
しなければならないのです。その武装の過程でチェックポイントをクリアできない
毒を抱え込んでしまいます。毒をもっているからといって切り捨ててしまう頃は
重大なモレ、ヌケを起こす可能性があります。

 つまり著者の言う“ダメな議論”のスクリーニングは、
あまり役に立たないのではないか。という結論に達してしまいました。




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