投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム

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投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム

投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム

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倉都 康行 | 日経BP社 | 2008-07-17


9点:¥ 1,219より 詳細


総合評価:星3つ

星5つ 現代ファイナンス理論の限界、陥穽ないしは原罪性
力作である。米国の金融立国戦略の「尖兵」であった投資銀行モデルの今日的崩壊過程を、金融史も交え実に様々な面から考察しており、目から鱗の連続であった。(一応、2008年9月のいわゆるリーマン・ショック以前の出版であることに注意。)

印象に残った指摘を幾つか列挙すれば、(1)顧客との長期的信頼(信用)関係に基づく商業銀行モデルからは余りにも乖離した「現在価値」崇拝ないしはPV信仰(お前はただの現在にすぎない!)の蔓延(71〜78頁)、(2)日本の中小企業向け融資=擬似エクイティ(85頁)、(3)現在のGSEの負債総額>米国債残高(147頁)、等々。

「計算式の内容は完璧であっても、その計算式が常に正しいという証明は、その計算式からは出てこないのである」(74頁)。「現代社会の消費マインドを支えているのは、所得と保有資産の現在価値である。そこには両者の将来価値の割引分が期待値として埋め込まれている。大雑把に言えば、米国住宅バブルの状況下では、期待値が過大に評価されていたのだろう」(181頁)。オプション(BS式)といい証券化といい、全てを完璧に「現在」に還元できると錯覚し、節度を越えて刹那的な利食いに暴走した結果が今日の始末である。即ち、現在世界で吹き荒れる金融激変の大波は畢竟上記(1)の論理的帰結に過ぎず、要は、バブルを生んでは潰しの繰り返しであった米国の金融覇権戦略が遂に「消費期限」を迎えたということなのであろう。


星3つ 初心者には不向き
ちょっと背伸びしすぎました。
難しすぎて、理解しきれませんでした。
どうやら、前提知識をある程度持っている人向けだったらしいです。クスン


星1つ ステレオタイプの批判
一実務家によるステレオタイプの批判。
一ビジネスモデルに焦点を当てたとしても問題の本質は見えない。
もっと多面的な分析が必要。
投資銀行はなくなっても、投資銀行業務はなくならない。



星5つ かつて投資銀行の現場でデリバティブ業務を経験していた著者だから客観的に予測できた今回の金融危機。特に、金融マンには必読の1冊
著者は1979年に東京銀行に入社、いわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人だ。同行からバンカース・トラスト、そしてチェース・マンハッタンへ転じ、2001年に独立、RPテックを設立し現在に至る。理屈ではなく、現場を見てきた人だから今回の金融危機を正確に予測できたのだろう。

著者は自らの体験を基に下記のような話も展開し、冷静に考えれば今回の投資銀行バブルの崩壊と金融危機の到来は必然だったと思わせる。

・プロのディーラーたちは、サブプライムやCDOなどに高いリスクがある、というのはもちろ んみんな分かっている。だけど自分たちの業績は、リターンでしか比較されない。しかも、 投資するのは自分の金じゃない。だったら、0.001%の差だって、誰でも高いリスクを取り に行くという話。

・リスクを避けたところで、他のディーラーにリターンでちょっとでも負ければ評価されない なら、攻めて攻めまくるでしょう。危機を招いたのは管理の甘さとか現場の能力ではなく  て、彼らにおカネを預けた投資銀行側の評価基準の問題が本質である。

・ディーラーは本当に、朝から晩までそういう感覚で生きていますから。自分の金じゃない  し、元手が必要ならば、実績さえあればすぐ貸してくれるし、それでうまくいけば自にもど ーんとお金が入ってくるし、これはもうやめられない麻薬のようなエンドレスのゲームだっ た。

・人の金でばくちをするんだったら、誰でもハイリスク・ハイリターンのあるところに賭け  る。それで失敗して会社が倒産しても、今まで儲けた金を返せ、とは言われないしね。
 冷静に考えると夢みたいな商売だった。

・現場では、「表だったら俺の勝ち、裏だったらあんたの負け」だと誰かが言っていた。
 普通だったら表で勝ちで裏で負けなんですけど、「表なら俺が儲かって、裏だったらあんた が損をする、俺は関係ない。これが金融のゲームだ」と、そういうことを言っている連中が いた。

・その感覚で金融において考えるとアングロサクソンのモデルは多分、少なくとも、しばらく はだめであろう。

・今回の金融危機によりシティーとニューヨークの地盤はかなり低下するだろう。
 これは収益力が落ちるという意味でもあるし、金融の活力が落ちるという意味でもあるし、
 金融史的にいうと、この2大国際金融都市の地位は、大きく変わる可能性がある。

・アメリカの金融の没落は、EUによる、米国からの金融覇権の剥奪、イギリスからアメリカに 行ったのを、今度はイギリスではなく、EU、ユーロ圏が取り戻す可能性も考えられる。

・ドイツ、フランスがどこまでできるか分からないけれど、ある意味での社会主義的な金融モ デルが出てくる可能性もある。

 このように、著者の投資銀行での現場での体験に、金融の歴史的視点を加え、今回の金融危機の発生がある意味で必然、であることを端正な文章で解き明かしてくれる。

 本書はどちらかというと金融マン向けの専門的部分が多いが、もっと、やさしく、噛み砕いた説明を知りたい方は、経済企画庁で景気予測に携わった後、投資銀行でデリバティブの現場に入り、今は、経済アナリストである藤原直哉さん著の「2009年世界大恐慌」を読んでいただきたい。そちらの本にもレビューをを書かせていただいたので、ご一読いただければ幸いである。


星3つ 投資銀行にはなれない商業銀行の銀行マンがみたサブプライム問題
この本のなかでは投資銀行と商業銀行がずっと対比されている.証券化商品とレバレッジの技法によっておおきな収益をあげる投資銀行をうらやみ,そこにちかづこうとしながらも投資銀行にはなれない商業銀行.しかし,バブルが崩壊して投資銀行はつぎつぎにきえていった (この本が書かれた時点ではまだ一部をのぞいては存在していたが).専門家である著者はプット・オプションなどの専門用語の解説もいれながら,こうしたことを組曲としてかなでていく.やはり金融のことは金融の専門家にかなでてもらうのがいい.




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