格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

書籍、雑誌検索サイト:格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)
DHCオンラインショップ

格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2008-06



星4つ | 薄いながらも中身は濃い
 苅谷氏の本は初見であったが、確かな政治学者である山口氏が共著するだけある教育学者だった。
 前半の苅谷氏の公演を読み、格差を「不平等」と言い換えるセンスのみならず、国家予算と事務教育費、双方の伸び率が比例しない点、PISAの数学力変化グラフで、学力の低い子が更に低下した点、やがて来る教員不足などの指摘などを読み、実際にそれを聞きたくなった。

 対談部分でも、フィンランドモデルを紹介する本を時折目にするが、北欧型でも能力が高くても職に就けないとの問題点を、指摘しているのを目にしたのは初めてだし、「良い事てんこ盛り」な教育政策の矛盾についても考えさせられた。

 教育は、経済政策などと異なり、短期軸で考えるのではなく、長期的視野でよりよい方向へと教育を変えていきながら、、問題点をそのつど改善していかねばならぬものなのだ。


杉並区立「和田中」の学校改革―検証地方分権化時代の教育改革 (岩波ブックレット NO. 738)

杉並区立「和田中」の学校改革―検証地方分権化時代の教育改革 (岩波ブックレット NO. 738)

Amazon価格:¥ 609 (定価:\ 609)

通常24時間以内に発送

苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2008-09



星3つ | 普通の公立中学校の顔
よのなか科、ドテラ、夜スペ、地域本部とこれまでの教育業界とは一風異なった取り組みを積極的に展開し、マスコミなどで広く知られることとなった和田中。ある意味日本で最も有名な公立中学校かもしれない。本書では藤原和博校長を中心とした和田中学校の学校改革について学者の視点から考察を行ったものである。

学者の視点からと言う意味で興味深いのは和田中の「普通の公立中学校としての顔」を強く意識して和田中の変化を捉えようとしたところである。特殊な取り組みばかりが注目されるが、学校生活の殆どの場面は従来の普通の公立中学校と何ら変わることがないのは当たり前であるが、忘れかけてしまう視点である。この普通の中学校としての側面から見て初めて藤原校長の改革の是非が明らかになるような気がする。世に民間人校長がもてはやされるが、成功例はごく一部というのが実情である。普通の公立学校としての側面を活用することこそが成功につながるのであろうと思う。

本書でもふれられているが、和田中の学校改革は藤原校長の有名性に依拠する部分が多いのも事実である。どこが全国の学校一般にも応用できるのか、どこが和田中(もしくは藤原校長)以外には適用不可能なのか。普通の公立中学校という視点は和田中の学校改革における普遍性を考察する上では不可欠のものである。

藤原氏は大阪府の教育アドバイザーとなった。大阪府の教育改革にどれほど寄与できるか今後に期待したい。一個の学校にとどまらず、大阪府という巨大自治体における改革を成功させることができれば日本の教育は大きく変化するだろう。


学ぶこと思うこと (岩波ブックレット)

学ぶこと思うこと (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常2?4週間以内に発送

加藤 周一 | 岩波書店 | 2003-01



星4つ | 学びて思わざればくらし
02年6月に東京大学教養学部学生自治会が新歓企画で加藤周一を迎えて行った講演会の記録である。東大生を相手にしているためか、わりと堅苦しい話から始める。すなわち『学びて思わざればくらし、思いて学ばざればあやうし』これは『論語』の中の言葉である。更には『学ぶためには何が必要か』という話に発展させる。

しかし加藤が一般的な『学問の心得』の話で終らすはずが無い。それはつまり『学びて思わざればくらし』にも通じる。加藤は自分自身が持つ『問題意識』を学生にぶつける。「若者にも歴史に対する責任はあるか」「個人と組織の関係をどう考えるか」。

ここでは歴史的に見て現代日本を強烈に批判しています。若者一般に対する加藤の『願い』が色濃く出ているブックレットでした。


イギリス「教育改革」の教訓―「教育の市場化」は子どものためにならない (岩波ブックレット NO. 698)

イギリス「教育改革」の教訓―「教育の市場化」は子どものためにならない (岩波ブックレット NO. 698)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

阿部 菜穂子 | 岩波書店 | 2007-04



星5つ | 生きた機関としての学校の再生
 元毎日新聞社記者で、2001年からロンドンに住み、2人の男児を育てている女性が、2007年に刊行したブックレット。1988年以降イギリスでは、サッチャーが学力向上のために現場の反対を押し切って(原案も歪曲)、教育に中央集権的性格と市場原理を導入し、統一カリキュラム・統一学力テストの設定、テスト結果の公表による学校間競争とそのための学校自治の法的保障、それによる親の学校選択権の保障、国家による強力な学校査察制度の導入を行った。ブレアは基本的にそれらを継承しつつ、教育費の増額、幼児教育の強化、トップダウン型成績到達目標設定の慣行の定着、「失敗校」支援策を行った。これらの教育改革は、義務教育期間中の子どもに教えるべき教育内容の明確化をもたらしたと言われる反面、問題校の辱めによる教育および地域の階層化、点数至上主義教育による現場のストレス、画一的授業、考える力の弱体化、テストでの不正事件、文書や職員会議の多さによる現場の気軽なコミュニケーションの希薄化、校長不足、教育の低年齢化等をもたらしたと批判され、また学力水準もそれ程向上してはいないという評価も下されている(判定基準の問題あり)。そのため、イギリス各地でサッチャー改革への批判が生じ、テスト中心主義から子ども中心主義への移行、教科横断的授業、基礎を踏まえた上での知識の多様な応用の重視、教師の判断の尊重、学校間協力への動きが見られる。総じて「生きた機関」である教育現場には、敗者を必然的に生み出す競争原理や、外部からの統制はなじまないことが、イギリスでははっきり認識されたと言えよう。著者は更に、フィンランド・モデルを紹介して、この認識の正しさを補強している。本書からは教育についての多くのヒントが得られ、サッチャー改革をご都合主義的につまみ食いする、安倍政権の教育改革の問題性もよく分かる。


「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット)

「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

佐藤 学 | 岩波書店 | 2000-12



星4つ | 子供たちの現状
「子供たちは勉強漬けで窒息しそうになっている」という認識が疑いようの無い事実であるかのように言われてきました。
しかし本書は、そのような子供像は20年も前のものであり、今の子供たちはむしろ勉強から逃走しており、従来の認識は正しくないことを明らかにします。

このような現状は必ずしもこれまでの「ゆとり教育」路線を否定することに直結するものではありません。
しかし、ゆとり教育が「たるみ」として推進されようとするならば、本書の示す問題意識はゆとり教育に大きな問題提起をすることになるでしょう。

ではなぜ子供たちは勉強から逃走したのか?
著者はその原因を「圧縮された近代化の終焉」というキーワードから解き明かしていきますが、あまり分かりやすい説明はなされていないように思います。
ただ、本書とあわせて同著者による『学力を問い直す』を読むと、著者のいわんとしていることは理解できます。

よって、本書は『学力を問い直す』とセットで読むことをおすすめします。


習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)

習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

佐藤 学 | 岩波書店 | 2004-01



星4つ | PISAショック
PISAショックにより習熟度別指導の問題点が浮き彫りにり、同時にエリート教育も敗北であるという結果が出た。そのような現実がある中で、日本では公立校でも習熟度別指導を推し進め、塾でも個別指導塾が幅をきかすようになるなど時流とは完全に逆の方向に流れている事が分かる。一方でフィンランドのように複式学級制が多いなかで共同学習をとるシステムの成功がみられる。前者と後者は一長一短というものではなくかなり色濃く勝敗を分けている。エリート教育が目指す所の上位層のレベル向上を目指すという目的とは裏腹に共同学習をとっている国に上位層(国際平均の上位10%)と認められる割合でも劣っている。一方、一見共同学習は底上げが期待できるように思えるかもしれないが、意外にも上位層と認められる割合でも上回っており、かつ、 下位層の底上げにも成功しているという具合だ。

途中いくらか納得しかねる論理的飛躍はあるものの、概ね議論は誠実で実りのあるものだった。70ページというボリュームのなかに多くが詰まっている。


学力を問い直す―学びのカリキュラムへ (岩波ブックレット)

学力を問い直す―学びのカリキュラムへ (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

佐藤 学 | 岩波書店 | 2001-10



星4つ | 統計に基づいたするどい視座
本書は、「学力」というものの本質を見つめ、時には捉えなおしながら、


●学力が貨幣と同一の機能を持つこと
●基礎学力という概念はリテラシーという概念で定義するのが相応しい
●学力を形成するためには、自分のわからないレベルの事柄をコミュニケーションをとおして模倣し、自分の中に「内化」することが必要
●教師や親こそが学び手として成長し行動することが大切
●40人学級という定員の改善
●学力低下よりも、大人の教養の解体の方が由々しき事態である


以上のような鋭い指摘を、諸外国や国内の数々の統計に基づいてしている。教員や学校の体制、果てには教育という営みの原点すらも再認識させられる一冊であった。著者である佐藤氏の鋭い説得力は、統計や本による情報収集のみによるものではなく、実際の学校現場に赴いていることによって形成されている。その学校数は数千校をだというから、本書が机上の空論として空回りするだけのものでないことは確かである。

一時間もあれば読めるような文章量なので、教育に携わる全ての人が読んで損はないだろうと思う。


検証・地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する―犬山市教育委員会の挑戦 (岩波ブックレット)

検証・地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する―犬山市教育委員会の挑戦 (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2006-10



星5つ | 教育改革は現場の専門性から
 7人の教育社会学者と1人の学校臨床学者が、2005年に実施した愛知県犬山市(石田芳弘市長)の教育改革のシステム評価を全国に発信するために、翌年に刊行した小著。犬山市では、市教委(瀬見井久教育長)主導で、現行制度の枠組みの中で、義務教育として果たすべき学校の役割を、市内全ての学校で、現場の教師の専門性を高めることを通じて、最大限地道に発揮する方向へと教育現場を支援し、方向付ける教育改革が、1997年以降行われた。それは行政の財政支援による市教委事務局の強化と、授業改善と学校運営の改善とを連動させた学校の自立(副教本づくり、少人数学級と学び合いの授業、二学期制等)を二本柱とする。著者達は、表紙裏にあるようなシステム評価プロジェクトによって、これらの改革の成果を数量データにより検討し、学び合い型授業が教育格差を縮小する上で一定の効果を持っていることを、明らかにする。また、改革の担い手意識(教師間の支え合いと関連)と改革対象意識という二つの因子を基に、教師を積極的関与層、改革逆説直面層、担い手意識希薄層に分け、それぞれの改革への評価をまとめている(総体として見ると比較的評価が高いが、改革の速さや負担への不満もある)。保護者も、少人数授業・TTは支持しつつ(この点で階層的な偏りは見られない=それぞれが異なる希望を読み込んでいる)、学習意欲の改善については厳しい見方をしている。更に著者達は、自らの評価法の在り方をも検討対象とし、調査項目とその並べ方の設定、個人の特定の是非、評価する者−される者という関係の逆転の可能性等について、ときに市教委との議論を繰り返しつつ、検討を加えている。それは著者達の提示する、ネットワーク型行政モデルに関連している。最後に、著者達はこの結果を昨今の教育改革の潮流の中に位置づけ、その課題をも探っている。


教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か (岩波ブックレット)

教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

藤田 英典 | 岩波書店 | 2006-11



星5つ |


「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット)

「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

通常24時間以内に発送

土井 隆義 | 岩波書店 | 2004-09



星4つ | 今の学生達が置かれている現状
社会がおおよそ完成し若者が思い切り社会に貢献できるスキマの少ない
今の日本。その狭いスキマの中でいかに生きていけば良いのか、この先
大人になったらどんな努力をすれば報われるのか?を模索しているのが
今の学生達だと思う。努力したくない訳ではない。努力したのに報われ
なかった親を見、何とか早期に自分らしさを発見して安心したいという
焦りが大いにあると思う。その焦りの中に若さというパワーが注入され
て昨今の事件へと発展してしまっているのではないかと感じた。大人か
らは奇異に見えるパフォーマンスでも何か表現しておかないと不安でし
ょうがない。そういう切実な心境を垣間見ました。


+ 商品検索 +
+ PR +