杉並区立「和田中」の学校改革―検証地方分権化時代の教育改革 (岩波ブックレット NO. 738)
杉並区立「和田中」の学校改革―検証地方分権化時代の教育改革 (岩波ブックレット NO. 738)
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| 普通の公立中学校の顔
よのなか科、ドテラ、夜スペ、地域本部とこれまでの教育業界とは一風異なった取り組みを積極的に展開し、マスコミなどで広く知られることとなった和田中。ある意味日本で最も有名な公立中学校かもしれない。本書では藤原和博校長を中心とした和田中学校の学校改革について学者の視点から考察を行ったものである。
学者の視点からと言う意味で興味深いのは和田中の「普通の公立中学校としての顔」を強く意識して和田中の変化を捉えようとしたところである。特殊な取り組みばかりが注目されるが、学校生活の殆どの場面は従来の普通の公立中学校と何ら変わることがないのは当たり前であるが、忘れかけてしまう視点である。この普通の中学校としての側面から見て初めて藤原校長の改革の是非が明らかになるような気がする。世に民間人校長がもてはやされるが、成功例はごく一部というのが実情である。普通の公立学校としての側面を活用することこそが成功につながるのであろうと思う。
本書でもふれられているが、和田中の学校改革は藤原校長の有名性に依拠する部分が多いのも事実である。どこが全国の学校一般にも応用できるのか、どこが和田中(もしくは藤原校長)以外には適用不可能なのか。普通の公立中学校という視点は和田中の学校改革における普遍性を考察する上では不可欠のものである。
藤原氏は大阪府の教育アドバイザーとなった。大阪府の教育改革にどれほど寄与できるか今後に期待したい。一個の学校にとどまらず、大阪府という巨大自治体における改革を成功させることができれば日本の教育は大きく変化するだろう。
格差社会と教育改革 (岩波ブックレット NO. 726)
格差社会と教育改革 (岩波ブックレット NO. 726)
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| 薄いながらも中身は濃い
苅谷氏の本は初見であったが、確かな政治学者である山口氏が共著するだけある教育学者だった。
前半の苅谷氏の公演を読み、格差を「不平等」と言い換えるセンスのみならず、国家予算と事務教育費、双方の伸び率が比例しない点、PISAの数学力変化グラフで、学力の低い子が更に低下した点、やがて来る教員不足などの指摘などを読み、実際にそれを聞きたくなった。
対談部分でも、フィンランドモデルを紹介する本を時折目にするが、北欧型でも能力が高くても職に就けないとの問題点を、指摘しているのを目にしたのは初めてだし、「良い事てんこ盛り」な教育政策の矛盾についても考えさせられた。
教育は、経済政策などと異なり、短期軸で考えるのではなく、長期的視野でよりよい方向へと教育を変えていきながら、、問題点をそのつど改善していかねばならぬものなのだ。
追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)
追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)
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| 多様な現代米国思想をジャーナリストの眼で描いた好著
試みにリベラルという言葉を広辞苑で引いてみると自由主義的あるいは自由主義者となっている。従来の日本語の感覚からいうと自由を重んじて政治的には統制経済に反対の立場に立つ人物がリベラリストとなるが、どうも違うらしい。
米国政治は共和党と民主党の2大政党制といわれる。共和党は保守政党であってネオコンとはそれが先鋭化したものとして日本でも揶揄される傾向があるが、そう簡単なものではないらしい。また民主党はリベラルといわれるが、ハイエク流の自由主義を指向しているわけではなく、著者は誤解を避けるためリベラル(進歩派)としている。これらのことは米国政治や思想に詳しい人にとっては自明のことなのかもしれないが、素人にとっては理解のために有難い。著者はジャーナリストであり直接、思想家に会って取材をする強みがあり説得力を増している。
米国ではエドマンド・バークの保守思想を継承する思想家が戦後のラッセル・カークまで現われなかったのは意外であった。ネオコンの出自についても興味深い事実が語られる。そして米国ではどのような態度を取るにせよ、宗教(キリスト教)と思想は切り離すことができないことが実感される。
確かに現代の米国の(政治)思想は多様であり、また同じ思想家においても変化して止まない。そしてサブプライム問題を契機とする世界的な金融崩壊の脅威の中から今後、米国でどのような思想が生まれてくるのであろうか? 著者には是非、フォローしてもらいたいものである。
易―中国古典選〈10〉 (朝日選書)
易―中国古典選〈10〉 (朝日選書)
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| 「易経」とワンセットで
岩波文庫の「易経」だけでは、何がなんだかちんぷんかんぷんだった時に、本書に出会いました。その結果、今まで疑問だったところが一気に晴れ、一つ一つの卦が風景を伴って理解出来ました。
易経を単なる占いの本とせず、道を解き明かす書として扱っている点にも好感を持ちました。
「易経」の解説書として、「易経」とワンセットで買うことをお勧めします。
競争しても学力行き止まり イギリス教育の失敗とフィンランドの成功 [朝日選書831] (朝日選書 831) (朝日選書 831)
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| ひとりひとりが勝者であるべき、教育
この本では、テストがないのに国際学力テスト1位のフィンランドと、
最近の日本の「全国学力テスト」とその結果による学校ランキングという
教育改革のモデルとなったイギリスの教育を比較することで
現在の日本で本当に必要とされる教育モデルを探っています。
当たり前かもしれませんが、どこの国でもよりよい教育を
子どもに与えようと研究、努力はしています。
日本での全国学力テストの再開も、その一端ではあると思います。
けれど初年度の結果は、教員などによるテストの不正が行われるなど
テストの結果を重視するあまり、本質を損なっていると思われます。
フィンランドでは、少人数クラスで個々の生徒にあった授業を行います。
これは、お金もかかり、手間もかかります。
テストのように成果も見えづらいです。
支える人々の覚悟がいる方針だと思います。
けれど教育は、ひとりひとりの子どもがそれぞれの人生を
切り開く礎とするためになされる、重要なことであるはず。
「敗者があってはならない」という著者の言葉を
胸にとめておきたいと思いました。
秘伝 中学入試国語読解法 (新潮選書)
秘伝 中学入試国語読解法 (新潮選書)
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| 文学研究者の感想文
論理性に欠ける記述は文学研究者としての資質からでしょうか。単純化した理論の展開と結局は国語力でという解説になっているので、受験には役に立たないでしょう。単純化に惹かれる人は多いのでしょうが・・・。この程度のことは進学塾で論理的に教えてくれます。家庭学習にしても、他の参考書をやったほうがよいと思います。この手の本は10冊以上読みましたが、受験に役立つものはありませんでした。盲目的でない人が国語教育を考える意味で読むにはいいかもしれませんが。
歴史物語 朝鮮半島 (朝日選書)
歴史物語 朝鮮半島 (朝日選書)
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| 朝鮮半島の歴史の入門書
朝鮮半島の歴史について一貫してかかれれた書籍はそれほど多くない。
どうしても、それぞれの王朝や、時代、もしくは特定のジャンルについてこだわる傾向の書籍が多いのだ。本書はそういったこだわりを捨てて、朝鮮半島丸ごとについて、簡潔にわかりやすく解説されている。
今までさまざまな朝鮮関連の書籍を読んでも理解できなかった、各時代における中国、日本、その他西洋社会との関係について、非常にわかりやすくまとまっており、やっと大まかな概要が理解できた。
よい本だと思います。
競争やめたら学力世界一―フィンランド教育の成功 (朝日選書)
競争やめたら学力世界一―フィンランド教育の成功 (朝日選書)
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| 正直、期待はずれ
この著者についてはよくしらない。古本屋で500円だったので買った。
著者紹介では東大教育学研究科大学院卒とある。要するに大学で「教育」などというくだらないことをテーマに研究されたかたらしい。
実際、内容は「イギリス under サッチャー」での教育現状が詳細に研究されかかれている。この部分は常識的に知られていることが詳細に書かれていて資料的価値は高い。
フィンランドの楽園的状況についてはページ数も内容も少ない。ポイントはフィンランドはある時期初等教育まで全民営化を行ったことだ。これが何を意味するかは先の小泉政権がやったことを思い出して誰にでも分かる。
私は民営化には大賛成だが、果たして日本国民がそれに耐えられるか?小学校教員が、保育士と同程度の社会的地位に落ちることに耐えられるか?まあ20年は無理だと思う。アホほど体裁だけは整えたいものだ。
習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)
習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)
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| PISAショック
PISAショックにより習熟度別指導の問題点が浮き彫りにり、同時にエリート教育も敗北であるという結果が出た。そのような現実がある中で、日本では公立校でも習熟度別指導を推し進め、塾でも個別指導塾が幅をきかすようになるなど時流とは完全に逆の方向に流れている事が分かる。一方でフィンランドのように複式学級制が多いなかで共同学習をとるシステムの成功がみられる。前者と後者は一長一短というものではなくかなり色濃く勝敗を分けている。エリート教育が目指す所の上位層のレベル向上を目指すという目的とは裏腹に共同学習をとっている国に上位層(国際平均の上位10%)と認められる割合でも劣っている。一方、一見共同学習は底上げが期待できるように思えるかもしれないが、意外にも上位層と認められる割合でも上回っており、かつ、 下位層の底上げにも成功しているという具合だ。
途中いくらか納得しかねる論理的飛躍はあるものの、概ね議論は誠実で実りのあるものだった。70ページというボリュームのなかに多くが詰まっている。
「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット)
「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット)
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| 子供たちの現状
「子供たちは勉強漬けで窒息しそうになっている」という認識が疑いようの無い事実であるかのように言われてきました。
しかし本書は、そのような子供像は20年も前のものであり、今の子供たちはむしろ勉強から逃走しており、従来の認識は正しくないことを明らかにします。
このような現状は必ずしもこれまでの「ゆとり教育」路線を否定することに直結するものではありません。
しかし、ゆとり教育が「たるみ」として推進されようとするならば、本書の示す問題意識はゆとり教育に大きな問題提起をすることになるでしょう。
ではなぜ子供たちは勉強から逃走したのか?
著者はその原因を「圧縮された近代化の終焉」というキーワードから解き明かしていきますが、あまり分かりやすい説明はなされていないように思います。
ただ、本書とあわせて同著者による『学力を問い直す』を読むと、著者のいわんとしていることは理解できます。
よって、本書は『学力を問い直す』とセットで読むことをおすすめします。

