無駄学 (新潮選書)

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無駄学 (新潮選書)

無駄学 (新潮選書)

Amazon価格:¥ 1,050 (定価:\ 1050)

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西成 活裕 | 新潮社 | 2008-11



星3つ | 「トヨタ生産方式」のわかりやすい入門書
前半は、「無駄」についての定義、「トヨタ生産方式」の解説となっている。「トヨタ生産方式」の関連本はいろいろ出ているが、本書はその中でも非常にわかりやすいものであると思う。他の「トヨタ」解説本だと、トピックの羅列だったり、往々にして根性論だったりするのだが、本書は「無駄」という大きな問題の中で、「トヨタ生産方式」に触れられており、論理的な流れをもち、全体の文脈をつかみやすい。つまり、「トヨタ生産方式」の個々の方法(たとえば、カンバン)の意義がつかみやすい。

前半はとても良いのだが、後半、特に最終章あたりの「環境問題」や「道徳教育」の話は蛇足、つまり無駄であると思われる。こちらは、前著『渋滞学』の成功もあって「科学的」解明を期待しているのだが、そんなことはお構いなしに持論が展開されている。「目的と期間を決めなければ無駄をとらえられない」という定義にも反している。「環境問題」や「道徳教育」の「目的と期間」を著者が勝手に決められるなら問題ないが。

本書は、「直観」や最終章で扱われた問題を宿題として残しており、科学的な書物とは言うことはできないが、新しいディシプリンを「創発」しようとする試みであると、好意的にはとらえることができる。

最終章にとても辟易したので★2つとしたが、前半は価値が高い。著者も自覚しているところだろうが、社会問題にかんする持論を展開したいのなら、もう少しブラッシュアップして出版した方が良かったと思う。


格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

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苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2008-06



星4つ | 薄いながらも中身は濃い
 苅谷氏の本は初見であったが、確かな政治学者である山口氏が共著するだけある教育学者だった。
 前半の苅谷氏の公演を読み、格差を「不平等」と言い換えるセンスのみならず、国家予算と事務教育費、双方の伸び率が比例しない点、PISAの数学力変化グラフで、学力の低い子が更に低下した点、やがて来る教員不足などの指摘などを読み、実際にそれを聞きたくなった。

 対談部分でも、フィンランドモデルを紹介する本を時折目にするが、北欧型でも能力が高くても職に就けないとの問題点を、指摘しているのを目にしたのは初めてだし、「良い事てんこ盛り」な教育政策の矛盾についても考えさせられた。

 教育は、経済政策などと異なり、短期軸で考えるのではなく、長期的視野でよりよい方向へと教育を変えていきながら、、問題点をそのつど改善していかねばならぬものなのだ。


輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

Amazon価格:¥ 1,470 (定価:\ 1470)

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佐藤 卓己 | 新潮社 | 2008-09



星4つ | それほどの本とは思えない。
敗戦以降今日までを安保闘争やオリンピック、日中国交回復といった折々の世論調査と識者のコメントで振り返り、国民感情や空気としての世論と、責任ある公論である輿論のあり方を探る。
それにしても最期まで著者の言う「輿論」のイメージがつかめないままであった。輿論が空気のような多数派の感情を理性により善導するものであるならば、世論調査の数字と、実際になされた議論や決定とが食い違っている状況は特に批判されるべきではないという気がするが、本書の論旨は必ずしもそうではない。(たとえば終戦記念日を8月15日としたことは国民世論と一致しておらず、お盆と重ねただけのご都合主義だと批判している)
結局「世論」と「輿論」が違うものだということ、あるいは現代史として定着している「史実」と当時の「世論」との間に意外な相違が見られるということ以外に著者が何を言いたかったのか、よくわからないままであった。


データブック 貧困 (岩波ブックレット)

データブック 貧困 (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

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西川 潤 | 岩波書店 | 2008-06



星4つ |


憲法九条、あしたを変える―小田実の志を受けついで (岩波ブックレット)

憲法九条、あしたを変える―小田実の志を受けついで (岩波ブックレット)

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井上 ひさし | 岩波書店 | 2008-07



星4つ |


壊れゆく医師たち (岩波ブックレット)

壊れゆく医師たち (岩波ブックレット)

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岡井 崇 | 岩波書店 | 2008-03



星4つ | 医療従事者を労働者とみる事が、医師・病院・患者のメリットにつながる
 医師不足による医師の過労死が、最近やっと顕在化してきた。   医局支配システムの中で隠されてきたものが、ようやく自由に医師が、診療科・病院を選べるようになり、表面に出て来た訳だが、これにより宿直の後、日勤を続けるなど35H連続勤務のようなハードな勤務が、月に何度もあり、酩酊状態に近い体調で診療を続けている実態も明らかになってきた。

 その上、無過失保障制度が取り入れられていないので、民事・刑事裁判で鑑定の難しさによる不平等な判決を出され、責任を問われることもあり、医療過誤に関する保険や訴訟費用もバカにならず、いずれそれらは、資料報酬に上乗せせざるを得ない状況にもある。

 本書では触れられていないが、それ以前に、既に訴訟予防の“防衛医療”を行っている医師も多かろう。
 帝王切開率が増えているのもそれ故だし、“よきサマリア人法”が明文化されていない以上、乗り物内での緊急患者発生時、その場に居合わせた医師が、医師と名乗り出、応急処置をしてくれるかどうかも疑わしいのが現状だ。

 患者側もコンビニ医療を慎み、病院側も大阪・厚生年金病院のような余裕ある医師確保に努め、厚労省は、今の現場にツケを回すシステムを早く変えなければ、日本の医療は益々荒んでいかざるをえない。


若者たちに「住まい」を!―格差社会の住宅問題 (岩波ブックレット)

若者たちに「住まい」を!―格差社会の住宅問題 (岩波ブックレット)

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| 岩波書店 | 2008-12



星5つ | 居住権運動の源流に
 本書は格差社会に陥った日本の住宅問題について総括的に検討し、その中で住宅へのアクセスから弾かれている若者の状態と、その対策を考察した本です。
 まずは社会的な貧困化のなかで、若者がどのように住宅にアクセスしているのか、年齢階層、所得階層別に統計資料を元に考察します。多くの単身者が親と同居。そうでない単身者は民間賃貸住宅を利用していますが、国際比較で明らかなように、公的住宅へのアクセスはまったくと言っていいほどありません。これは明確に日本の住宅政策の不備であり、「ネットカフェ難民」などの若者住宅問題の元凶です。この日本に特徴的な若者に対する住宅政策の不在を指摘したことが、本書の大きな意義です。
 代替案としてはルームシェアと、民営化に晒されている公団住宅、廃止の危機に晒されている雇用促進住宅の活用が提案されています。ルームシェアは現在、民間賃貸物件を数人で借りて家賃を安くし、セキュリティを向上させ、そして新たなコミュニティを形成するということで大きく注目されています。公営住宅に関しては、ただでさえ貧困な住宅政策の歴史を持つこの国で、その微小な成果までも廃棄してしまうものです。住居を緊急に必要とする若者に提供するのが適当であると考えます。
 住居の保障は憲法25条に規定された「最低限度の生活」に欠かせない、国民の権利です。本書の結びにあるように、住宅の歴史には「居住権運動」とでも呼ぶべき多様な市民の努力と闘いがあり、自然に住宅事情がよくなった国はひとつもないことを考えると、今まさに、本書をもとに、住宅保障運動を展開すべきであると思い至ります。格差社会の時宜にかなった良書です。


江戸の性愛術 (新潮選書)

江戸の性愛術 (新潮選書)

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渡辺 信一郎 | 新潮社 | 2006-05-24



星5つ | こんな本が出てよいのかと、思わず唸ってしまう
大胆かつ直截な題名に惹かれて、頁を繰ると性器図や枕絵のオンパレード。立ち読みもままならず、手っ取り早く購入。中身は江戸文化に精通した元都立深川校長の執筆で、予想に反し、文章にいやらしさが無く、素直に読み切れる。「柳多留」など古川柳の引用や淡々とした筆の中にユーモアもあり、情景を思い浮かべ思わず含み笑いする。体位を想像して無意識の内に、身をひねったりしてしまうので、通勤途上の読書は止めた方が良い。周囲から不審の目で見られること間違いなし。


「密息」で身体が変わる (新潮選書)

「密息」で身体が変わる (新潮選書)

Amazon価格:¥ 1,050 (定価:\ 1050)

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中村 明一 | 新潮社 | 2006-05-24



星4つ | すごい!
呼吸法の本は色々読みましたが、この本は別格です。
日本人に合った呼吸法「密息」
そっそく練習してます。
でも、結構しんどいなー。


検証・地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する―犬山市教育委員会の挑戦 (岩波ブックレット)

検証・地方分権化時代の教育改革 教育改革を評価する―犬山市教育委員会の挑戦 (岩波ブックレット)

Amazon価格:¥ 504 (定価:\ 504)

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苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2006-10



星5つ | 教育改革は現場の専門性から
 7人の教育社会学者と1人の学校臨床学者が、2005年に実施した愛知県犬山市(石田芳弘市長)の教育改革のシステム評価を全国に発信するために、翌年に刊行した小著。犬山市では、市教委(瀬見井久教育長)主導で、現行制度の枠組みの中で、義務教育として果たすべき学校の役割を、市内全ての学校で、現場の教師の専門性を高めることを通じて、最大限地道に発揮する方向へと教育現場を支援し、方向付ける教育改革が、1997年以降行われた。それは行政の財政支援による市教委事務局の強化と、授業改善と学校運営の改善とを連動させた学校の自立(副教本づくり、少人数学級と学び合いの授業、二学期制等)を二本柱とする。著者達は、表紙裏にあるようなシステム評価プロジェクトによって、これらの改革の成果を数量データにより検討し、学び合い型授業が教育格差を縮小する上で一定の効果を持っていることを、明らかにする。また、改革の担い手意識(教師間の支え合いと関連)と改革対象意識という二つの因子を基に、教師を積極的関与層、改革逆説直面層、担い手意識希薄層に分け、それぞれの改革への評価をまとめている(総体として見ると比較的評価が高いが、改革の速さや負担への不満もある)。保護者も、少人数授業・TTは支持しつつ(この点で階層的な偏りは見られない=それぞれが異なる希望を読み込んでいる)、学習意欲の改善については厳しい見方をしている。更に著者達は、自らの評価法の在り方をも検討対象とし、調査項目とその並べ方の設定、個人の特定の是非、評価する者−される者という関係の逆転の可能性等について、ときに市教委との議論を繰り返しつつ、検討を加えている。それは著者達の提示する、ネットワーク型行政モデルに関連している。最後に、著者達はこの結果を昨今の教育改革の潮流の中に位置づけ、その課題をも探っている。


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