世界でもっとも美しい10の科学実験
世界でもっとも美しい10の科学実験
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ロバート・P・クリース | 日経BP社 | 2006-09-14

| 内容は概ね面白いが、余計な蘊蓄が目障り
世界でもっとも美しい10の科学実験という原題だが、実際は物理実験のみを扱っている。従って、化学及び生物系の実験を期待して読むと、今ひとつ満足感に乏しい。しかし、実験者の生い立ちや背景、実験の説明について概ねとても楽しめた。理系指向の小中学生にも勧められる科学入門書の一つと言っていいだろう。
いくつか問題点を挙げて、今後の類書に反映されることを望む。
1.実験の詳細及び図が今ひとつ
もっと鮮明な図やカラー写真があった方が分かりやすいのに…と思うことがしばしばあった。特にキャベンディッシュの実験の説明は雑で、何回か本文を読み返さないとよく理解できなかった。図の説明というのは、基本的に本文を読まなくても簡潔に完結していることが必要だ。著者は科学史の専門家らしいが、物理の素養はないのか?
2.「美しい」実験か否かという蘊蓄が目障り
本書に挙げられた実験はいずれも科学史上重要で、かつ極めて簡潔に説明でき、素人(私は研究歴はあるが物理学者ではない)でも理解できる程度のものを集めている。それだけで必要かつ十分な科学書と言えるのだが、著者は何をトチ狂ったのか延々と「美しさ」について御託を並べている。これがあまりに修辞的で理解不能。科学的内容は、少なくとも高等教育(大学教育のことだ)を受けた者にとってはある程度世界的に共有可能だが、美的感覚は民族によって異なり、場合によっては共有不可能だ。例えば太平洋の島々では過度に肥満な女性が美しいとされている。この感覚は、高度肥満者の溢れる北米諸国では受け入れ可能でも、少なくとも日本人には受け入れることは難しい。従って、これらの美しさに関する無味乾燥な論説については、日本版ではあっさり省略してしまった方が良かったのではないか?訳者もあとがきで告白しているように、相当苦労の後が見受けられるが、やはり訳者自身も理解できなかったところが結構あったのではないかと感じられる。従って、読者(少なくとも評者)には分からなかった。
ついでに言うとこれらの御託は「Interlude(日本語で間奏曲か?)」という題名の記事になっているが、いったいどれだけの日本人がInterludeの意味を知っているのか?少なくとも大学受験レベルの必須単語ではないし、頻出上位1万語にも含まれていないと断言できる。読者の99%がわからんだろう外国語を、少なくとも記事の題名にするべきではない。編集者の言語感覚を疑う。
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