アンジュール―ある犬の物語
アンジュール―ある犬の物語
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ガブリエル バンサン | ブックローン出版 | 1986-05

| モノトーンの叫びは、私たちの耳に届いたか?
最初のページから、私たちはこの絵本から目を離せなくなる。
1ページ目に描かれているのは、走っている自動車の窓から放り投げられ、
からだを“くの字”に折り曲げて空中に浮く飼い犬の姿。
自分がなぜこんな事をされたのか全く理解できない犬は、
自動車を全速力で追いかけ、でも追いつけず、途方に暮れ、さまよい、…
鉛筆で描かれた黒と白とのコントラストによる画面は、余分な背景は除かれ
私たちは自然に、主人公である犬の視点に立ち、その感情に入り込むことができる。
しかしそれは、ある意味つらいこと。
なぜなら、犬の感情を自分の心に写したとたんに、
ページをめくるほどに、犬のつらさ、苦しさ、絶望感に胸をつぶされそうになるから。
最後の6ページは、作者の絵本作家としての創作力が発揮された見せ場だと思う。
道で偶然に少年と出会い、2者の距離が少しずつ縮まっていく。
少年が道端に置きっぱなしにしたカバンと少年との間隔が次第に離れていくことが、
すなわち少年が犬に近づいていく、ということを表している。
最後のページで犬と少年が最も近づいた姿が描かれる。
だがその後、犬はどうなったかまでは描かれない。
私たちはこの少年や犬と簡単に共感できる資格はない。
日本では年間10万頭以上の犬が、飼い主に見捨てられたりなどで殺処分されている。
その現状を見て見ぬふりで放置している私たちは共犯者である。
セレスティーヌ―アーネストとの出会い
セレスティーヌ―アーネストとの出会い
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ガブリエル バンサン | ブックローン出版 | 1988-04

| アーネストパパの優しい眼差し
ガブリエル・バンサンの著書と初めて出会ったのは話題の処女作『アンジュール ある犬の物語』でした。嗚呼、何て著者のデッサンは複雑な描写でもなく柔らかなどちらかと言うと線の少ないデッサンなのにこんなにも物語るものがあるのだろうか…そして言葉数が少なくとも、それ以上に与えられるものがあるのです。バンサンさんの自在な線が描く世界は何て美しいのか、まるで描かれたもの全てが動き出してしまうのではないかと思ってしまうのです。此方の『セレスティーヌ アーネストとの出会い』では、クマのアーネストとネズミの赤ちゃんセレスティーヌとの出会いのお話、そして始まりがアーネスト目線で語られています。今回はセピア色の淡い柔らかな水彩タッチでこの絵本を彩られています。言葉数は少ないけれど確かな優しさと愛に溢れたアーネストの父親としての眼差しがセレスティーヌへの愛を物語っています。私事ですが私自身、父親に恵まれない家庭で育ったもので…ゴミ箱の中から偶然見付けたまだ目も開かない赤ん坊のセレスティーヌにこんなにも一心に愛情を与え、心配するアーネストパパが本当に素敵でその表情や仕草を見ているだけで何だかとても微笑ましく羨ましかったです。アーネストの優しい眼差しに少しだけ元気づけられました。これからアーネストとセレスティーヌにどんな物語が待っているのかとても楽しみです。アーネストパパ、これからもずっと素敵なパパさんでいて下さいね。バンサンさんの作品に触れる度に、大切な何かを思い出し少しだけ童心に戻ったような懐かしい響きが心の中に温かと広がっていくようなそんな気持ちにさせられます。素敵な絵本をいつもありがとうございます。
たまご‐L’OEUF
たまご‐L’OEUF
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ガブリエル バンサン | ブックローン出版 | 1986-10

| 巨大なたまごの意味するもの
ガブリエル・バンサンの名前だけは知っていた。タイトルと表紙に惹かれて初めて買ったのが、この「たまご」だった。木炭で描かれた巨大なたまごと、それをとりまく風景は、みごとなデッサン力で迫力がある。字のない絵本。大人むけのメッセージ絵本のようだが、子供にこの本を見せたらどんな反応を示すか、見てみたい気もする。
私自身、50号のキャンバスに巨大なたまごを描いたことがあった。28年も昔の話だ。たまごのかたちと意味は、絵を描く者にとって、花よりも風景よりも魅力的なのかもしれない。

