苅谷 剛彦の検索結果

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学力と階層 教育の綻びをどう修正するか

学力と階層 教育の綻びをどう修正するか

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苅谷 剛彦 | 朝日新聞出版 | 2008-12-05



星5つ | 教育に関する実証的社会学研究の知の力を信じて
教育「問題」についての言説というのは世の中に満ち溢れている。しかし、それら言説の大半の根拠とされるものは自分が見聞きした半径3m内程度のエピソードや1件2件程度の「事件」を基にしているものではないか?そのような凡百の言説等とは一線を画するのが当著者であられる苅谷教授です。現在、ようやく「格差」という問題が世間で注目を浴びるようになったが、SSM及び調査研究によって10年近く前に呈示されておられました。「教育」改革という教育全体を取り扱うならばきちんと定量的データ・実証的研究に基づかなければ、むしろ実害が新たに発生する(それも時間の経過とともに)という指摘とともに。

この書ではかつて苅谷教授がインセンティブデバイドと名付けた問題(両親の階層によって努力(量)に「格差」が生じるというもの)の拡大・顕在化の証明や、国が教育改革と称して熱心に取り組んでいる「道徳教育」の無意味さの指摘など、この10年間無駄に教育を弄んだかということの指摘に加えて、現在、苅谷教授が真に教育改革が必要と捉えている問題が呈示されている。それは公立学校教職員人口ピラミッドの歪さに生じる教育資源の再配分・再利用の問題だ。

格差に関する提言を無視した結果現在の状況がある中で、再び苅谷教授の提言が無視されてしまうのかそれが政府、マスコミに問われている。中教審であろうが教育再生会議であろうが構わないが苅谷教授が委員として名前を連ねていないという教育行政の現状に歯がゆい思いをせざるをえない。この本を読んでしみじみとそう思う。


格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

格差社会と教育改革 (岩波ブックレット)

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苅谷 剛彦 | 岩波書店 | 2008-06



星4つ | 薄いながらも中身は濃い
 苅谷氏の本は初見であったが、確かな政治学者である山口氏が共著するだけある教育学者だった。
 前半の苅谷氏の公演を読み、格差を「不平等」と言い換えるセンスのみならず、国家予算と事務教育費、双方の伸び率が比例しない点、PISAの数学力変化グラフで、学力の低い子が更に低下した点、やがて来る教員不足などの指摘などを読み、実際にそれを聞きたくなった。

 対談部分でも、フィンランドモデルを紹介する本を時折目にするが、北欧型でも能力が高くても職に就けないとの問題点を、指摘しているのを目にしたのは初めてだし、「良い事てんこ盛り」な教育政策の矛盾についても考えさせられた。

 教育は、経済政策などと異なり、短期軸で考えるのではなく、長期的視野でよりよい方向へと教育を変えていきながら、、問題点をそのつど改善していかねばならぬものなのだ。


教育再生の迷走

教育再生の迷走

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苅谷 剛彦 | 筑摩書房 | 2008-11



星5つ | 実証なき教育行政への突っ込み
 なんだか体調が悪いなあと思って、病院に行ってみたところ、出てきた医師に検査もされないまま、「こうすればよくなるから」と突然手術を勧められて同意する人はいるでしょうか?やっぱり検査をして、どこが悪いのか、何が原因なのかを特定して、それから施策を講じる医師にかかりたいと思う人が大半ではないでしょうか。

 教育に関しても、教育基本法改正など教育改革はずっと叫ばれたまま、さまざまな「改革」が学校現場に持ち込まれたり、持ち込まれようとしたりしていますが、それぞれの効果を測定しようとすることもなく、そして現状の正しい分析も行われないまま単純に現場の負担を増やしてしまい、結果的に生徒へのしわ寄せが行われるような(検査もなしでいきなり手術をするような)「改革」がまかりとおっています。こういった現状へ、実際に教育社会学者の第一人者として大規模な社会調査を行ってきた筆者による、安部内閣周辺の「改革」への鋭いつっこみが行われています。そして、首相が変わっていても、このつっこみの力が失われる事がなさそうな現状や、この筆者がオックスフォードに転出してしまった事への憂鬱な事態をまず見つめて、今ここの教育を考えるときに必読の一冊でしょう。


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