岸田 秀の検索結果

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李白(漢詩)日本名歌の吟世界

李白(漢詩)日本名歌の吟世界

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ものぐさ精神分析 (中公文庫)

ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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岸田 秀 | 中央公論社 | 1996-01



星4つ | 集団心理分析によるユニークな社会・歴史解剖
唯物史観とは異なり、人間の心理に重点を置き、集団心理を個人の心理と同様に論じられるという見解(唯幻史観)の上、近代日本、国家、性などを分析した書。「共同幻想」を前面に押し出している点は吉本隆明氏と通じる所があるが、具体的対象を論じている点が面白い。フロイトの心理分析手法をほとんど無批判に自説に取り入れている点は気になるが。

「日本が無謀な太平洋戦争に突入したのは、ペリーの黒船来航による」、「アメリカが世界各地の紛争に介入するのは、アメリカ原住民を虐殺して建国した"うしろめたさ"があるから」と歯切れ良い。特に、外的自己と内的自己による分析は頭を整理するのに役立つ。吉田松陰と日本赤軍が内的自己で結び付くとは。「共同幻想の無謬性と絶対性を維持するため、現実への適応に失敗しやすくなる」という一節は、オウム真理教を予見したかのようである。私はフロイト流の心理分析は信用していないのだが、集団心理の説明には都合が良いのかなと思った。性に関する分析では、人類の性本能が壊れていると言う指摘から始まり、文化としての性幻想を論じているが新鮮味がない。進化論・時間・空間・言語に関する考察は発想が自在と言うより、むしろ檻の中での窮屈な議論で魅力に乏しい。「本能を失った人類」に拘り過ぎているのである。時代・国家などには巧く適用できた集団心理分析手法が、性・言語と言った属人的な例に対しては空回りしている感がある。もっとも、「私的幻想」から抜け出せない人間が今で言う"引きこもり"に相当するとしたら卓見である。「心理学者の解説はなぜつまらないか」、「心理学無用論」の二つの自嘲的な章は笑わせてくれるが、意外と著者の内なる悩みなのかもしれない。これらの章が題名の由来になっている。最後に個人的な事柄が語られるが、主に母との関係が著者を心理学に進ませた経緯が述べられる。

時代・国家という対象を集団心理分析の手法で鮮やかに論じた刺激的な書。


「哀しみ」という感情

「哀しみ」という感情

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岸田 秀 | 新書館 | 2008-12



星4つ |


続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)

続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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岸田 秀 | 中央公論社 | 1996-01



星4つ | 「出がらし」ではない刺激的啓蒙書
唯幻史観(本書では史的唯幻論)によって近代社会を鮮やかに切って見せた「ものぐさ精神分析」の続編。本書はより身近なトピックスを対象にしており筆致も自由奔放で発想も自在。「全ては幻想である」、「人間の本能は壊れている」と言う信念が全編を貫いている。決して「出がらし」ではない。

文明を"病"と断ずる事は別に目新しくないが、"伝染病"とは言い得て妙。「死への恐怖」は人間以外の動物にもある事は自明で、これを種々の社会制度の唯一の要因と決め付けるのは流石に無理だろう。「史的唯物論批判」は本書の核心で、平凡だが首骨できる点が多い。日本的"諸行無常"の歴史観の延長上に自らの「史的唯幻論」があると嘆いているが、自然な流れだろう。「アメリカの精神分析」、「集団と狂気」、「守る」は現代の混迷を予見しているようで鋭い。動物園から"覇権幻想"に話を展開する辺りは著者の真骨頂で、「マニアについて」、「流行について」等と同様、軽い話題から深遠な考証に論理を飛躍させる手法が読む者を魅了すると共に、書き手の余裕を感じさせる。次章では「性的唯幻論」を"女性の肉体の商品化"をベースにして論じるが、論理的には受容出来ても、理が勝ち過ぎている気がする。性の問題は難しい。「近親相姦のタブー」を社会成立の前提条件とするアイデアは卓抜。「しつけの問題」、「価値について」の二編は秀逸な論考で、ここだけでも本書を読む価値がある。作家論はやや平凡か。

著者の「唯幻論」は国家、社会、制度と言った機構に巧く機能するが、"個"にも適用できるのには正直驚いた。ツボに嵌った時の刺激は強烈で、既存の常識に飽き足らない方への格好の啓蒙書。


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