「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
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| 遅れてしまった出会い
イダヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』(山本書店)は、1970年の大ベストセラーだった。しかし、わたしは読んでない。手にも取らなかった。なぜなら、私は「反ベストセラー主義者」だからだ。
ベンダサンはユダヤ人で、ユダヤ人の立場から日本人を論じた本がこれだった。ところが、何年かしてベンダサンは実在の人物ではないらしい、どうもこの書を訳した「山本七平こそがベンダサンではないのか」、「偽ユダヤ人だ」という噂が広がり、雑誌などでも書かれたりした。今日では、ベンダサン=山本七平は、広く知られている。
ベンダサン名義の『日本人とユダヤ人』も、その他の山本七平の本も、「どうせつまらない、価値のないことしか書いてない本だ」と、私は小馬鹿にしていた。しかし、ごく最近になって、私はこの認識を改める必要があるかもしれないと思い始めている。
その理由は、ひとつには、尊敬する宗教社会学のS先生が、「山本七平はなかなかのものだ」とおっしゃったからだ。これはキリスト教やユダヤ教、そしてイスラム教についての知識についてのことである。
それからもう一つは、山本七平が日本人と日本文化の独特の、それもその負の部分を鋭く批判し、分析していることに気付いたからだ。たとえば、ずばり「空気」である。人びとを動かし、支配する、眼に見えない力。それが「空気」である。日本の家族、村、会社、組合、そして国家……それらを左右し、規定するものが「空気」だ。そしてこの「空気」には誰も逆らうことができない。
昭和16年の日本。権力の中枢部において、対米戦争に批判的なひと、反対の人、躊躇する人は、少なくなかった。いや、多かった。しかし、戦争へと向かう「空気」に誰もが逆らえない様な状態になってきた。昭和天皇も、木戸内大臣も、山本五十六提督も反対だった。しかし、説明しようのない「空気」が、宮中、政府、陸軍、海軍を支配していた。
山本七平の本に『「空気」の研究』(文春文庫)がある。 この本が、かかる「空気」について正面から取り組んだ書である。難しくはないのだが、しかし、なんかややこしいところがある本だ。 『「あたりまえ」の研究』(文春文庫)という本もある。 『日本人とユダヤ人』をふくめて、山本七平の本をていねいに読む必要があると最近では思っている。
まあ、1970年の段階で山本七平を読んでおれば、こんな遠回りをしなくてすんだのだが、「反ベストセラー主義」のせいでちょっと損をしたなと思っている。
わたしは「空気」は日本人の間だけにあるのではないと思う。グラムシの「コンフォーミズム」、ヴェーバーの「諒解」の概念にも関係すると思う。この点を勉強したい。
帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)
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| お友達にしたくないヒトの代表選手「唐の太宗・李世民」さん
魏徴だったか誰だか忘れましたが、太宗・李世民に「帝王は起居注を見てはいけない」と忠告した人間がいましたね。実母を同じくする兄・李建成と弟・李元吉を殺害したうえ、父の高祖・李渕を幽閉して皇位を奪ったりしているので、彼が在世中から世間の評判をひどく気にしていたのは有名な話です。
その後継者選びや以後の政治過程から見て、人君たる者の教科書なる『貞観政要』が記す太宗の事跡は、かなり疑わしいと言われています。だからといって為政者としての彼の業績とは関係ないかも知れませんが、ほかの記録と照合すると、これも相当に怪しいとされています。
権力を握る立場にある者なら史実の粉飾や改竄はお手のもの。まあ、ときの政権が書いた「国定教科書」か、でなければ、権力者の鼻持ちならない伝記として読むくらいなら、「どうぞご勝手に」というような代物が、この『貞観政要』と言ってまちがいありません。
それにしても、いまの時代に、こんな黴臭いものを持出してくることに何の意義を認めようというのでしょうか。そこが、まるで解らないというのが率直な感想です。
いっとき、山岡荘八氏の『徳川家康』が「経営者のあるべき理想像を描いた」時代小説として企業経営者などのあいだで大ブームを巻起こしたことがありましたが、あれと同じくらい「空疎」を感じさせられた1冊でした。
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21)
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山本 七平 | 角川グループパブリッシング | 2004-03-10

| 著者の思い入れ
著者の思い入れの強さに、
圧倒されるとともに、
閉口している。
たとえば、「バシー海峡」について
なにやらポイントの一つのようなので、
周辺を頑張って読んだのだが、
いろいろな枝葉に飛んでおり、
肝心の中心的アイデアがわかりづらかった。
著者に相当感情移入しないと、
「面白い」までいかないような気がする。

