【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))
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| 一般人に焦点をあてた中世〜近世初頭日本論考の代表的タイトル
網野善彦による民衆史などとはまた違い、一般人のうち土地に属するもの(農民層)及び属していたが離れたもの(土地が養いきれない分量の人間・離農して非正規雇用の準軍人となったもの)をメインにいわゆる戦国期の村(ほぼイコール戦場)、城、人の流れを論考。今ではかなり定着した感のある「丸腰でない一般ピープル」史観が一般的にはまだそれほどメジャーでなかった頃の発表だったと思うが、現在では補訂新版となんだか定番になった感じ。
4部構成で、1:各地・各時期の侵略に伴う物の略奪や一般人の拉致売買・身代金取引などの戦場の現実、2:略奪・拉致の実行者層の具体像、3:戦場(ほぼイコール村、一般人の居住空間)での地元住民の姿。非難と帰還、防災保険(訴訟・免税、大名との交渉など)等々。4:戦国の終焉に伴う2の層の行方。土木建築系雇用、海外流出、都市の日雇い層などへ。(個人的には現代の非正規雇用と重なるイメージが・・)という流れ。
あくまで史学の見地なので、史料の提示とそれに基づく持論展開という形式となり、当然ながら娯楽色はありません。入門者にはもう少しライトな新書・文庫やムック系のものの方がよいと思います。タイトルは「戦場」ですが結果的にかなりテーマが拡散してしまっている点、またこれも当然というか論文の性質上やむをえないのですが意図的な飛躍と史料の孫引きで星ひとつ分。良書であることは間違いないので、一次史料まで興味の範囲にある方にはお薦めします。土地が養いきれない人口と戦争・産業と雇用の構造というテーマはさらに古い時代から現代まで、日本のみならずあらゆる地域と時代に共通のようです。
飢餓と戦争の戦国を行く (朝日選書)
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| 藤木さんの調べたことが嘘っぱちとは思わないけれど
高校までの教科書では習わない歴史に、裏社会というか、反社会的活動というものがある。
例えば人さらいや女の人への陵辱だ。
そしてこれは戦争につきもののことなのだろう。
なぜなら戦争は敵に対して無秩序状態で行うものだから。
だから戦争はよくないのだが、人類は紛争解決の手段としてこれからも持ち続けるのだろう。
それは残念なことだ。
ただ、その戦争の悲惨や不条理を伝えるのに脚色は不要かと思う。
論理の飛躍をもとにしたレトリックも不要かと思う。
言いたくなる気持ちはわかるが、それでもこの藤木さんは論理性に一部欠ける。
だからといって、藤木さんの調べたことが嘘っぱちとは思わないけれど
刀狩り―武器を封印した民衆 (岩波新書 新赤版 (965))
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| 刀狩りに最も成功したのはマッカーサー
著者も言うとおり確かに戦後歴史学は日本史を大幅に見直してきた。太閤検地については論争も起こり数多くの論文が書かれきた。しかし同じ秀吉が行った有名な政策の「刀狩り」については、史実をまともに追求した研究はゼロだというのには驚いた。著者が言うように、我々日本人は秀吉の刀狩りで身も心も裸にされてしまったという思い込みがあったらしい。
結論から言えば、秀吉の刀狩り(あるいは明治初期の廃刀令も)は、武器の所持そのものを禁じたものではなかった。それは百姓・町人に対して人を殺す権利の封印を求めたもので、自衛用に脇差の携帯は認めるが、公然と帯刀することは禁止して武士との身分差をはっきりさせるためのものだった。その意味では、敗戦後にマッカーサーがすすめた刀剣類の武器没収が、日本人の武装解除としては史上最も効果的だったらしい。
飢餓・内戦のうち続く戦国時代の悲惨な現実を多くの本に描いている著者らしく、刀狩りによって非力な民衆が武装解除されたのではなくて、戦乱の世の悲惨さを体験し平和な社会を切実に希求する民衆のコンセンサスが形成されたことによって、武器は所持してもその使用を自ら封印し平和な社会を主体的に実現したというのが本書の主張だが、まことに興味深い。

