逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)
逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)
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| 私たちの失った慕わしい世界
古い日本を目撃した多くの外国人の証言に触れられると思い読んでみた。期待以上の成果に驚いている。今や暗い江戸の農民のイメージはあとかたもなく、かわりに陽気で人好きのする幸福そうな人々が美しい自然の中でおおらかに暮らしている様がいきいきと浮かんでくる。分厚い評論なのに、第一章がやや難解だっただけで、あとはすっかり引き込まれてしまった。渡辺氏の美しい文章で滅亡した古い日本の文明を追体験できた事は幸せだった。
私たちが今伝統とよんでいる茶の湯や生け花などの事象は、「若き日本」を構成する「新たな寄木細工の一部分として、現代文明的な意味関連のうちに存在せしめられているに過ぎない」。「死んだのは文明であり、それが培った心性である。民族の特性は新たな文明の装いをつけて性懲りもなく再現するが、いったん死に絶えた心性はふたたび戻っては来ない。たとえば昔の日本人の表情を飾ったあのほほえみは、それを生んだ古い心性とともに、永久に消え去ったのである」。渡辺氏はこうした表現で、現代の日本の文明が、近代以前の文明の変容ではなく、滅亡の後に生まれたものだと主張する。古い日本の扼殺と葬送の上に近代のドラマは始まった。これは歴史の必然である。近代化は独立と繁栄を支えた。現代の日本人は先進国の一員であり、豊かさと便利さと自由を手にしたはずなのに、古い文明に生きた江戸の人々ほど幸福でないのはどうしたことだろうか。
当時日本の庶民世界に惚れ込んだ西洋人たちは、西欧的な心の垣根の高さに疲れていた。「確乎たる個の自覚を抱くことがそれほどよいことであったか」、幸福とは時に進歩とは逆の方向にあるのかもしれない。心の垣根を高くした私たちは、かつての日本文明に触れることで戻れない道に置いて来た忘れ物を見つけられるのかもしれない。
江戸という幻景
江戸という幻景
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| 『逝きし世の面影』の読者には必読の書
前作『逝きし世の面影』は、昨年読んだ本のなかで最も感動的で心に残ったものであった。本書は、いわばその続編であるが、期待を裏切らない秀作である。江戸時代とは何か?
著者は、最近はやりのポストモダニズムやエコロジズムの視点から江戸を評価しようとしているのではない。江戸時代を嘗てあった総体的な一つの文明、そして後戻りできない文明として捉えている。そして前作では、幕末、明治初期に来日した外国人の眼を通してその文明を描き出した。本書では、江戸時代の日本人のいろいろな著作からその文明の姿を生き生きと描き出す。前作を読んだ方は是非読んで欲しい。内容は前作より砕けていて読んでいて楽しい。
構想日本〈第1巻〉日本再考
構想日本〈第1巻〉日本再考
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構想日本J.I.フォーラム | 水曜社 | 2005-10-21

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このお正月読んだ一番良かった本。テレビや新聞ではわからない世の中の本当がここでは語られていて目からうろこだ。今の日本に一番必要な話がここにある感じがした。JIフォーラムというところにも是非行ってみたい。天下国家を語る前に一つ一つのディテールをきちんと見つめなおすことが問われている。小説家の歴史観ではなく、事実に基づいた人間史こそ、今必要かと思った。お徳感のある3冊だった。

